知的財産権

PCTの中国国内移行、その注意事項とは?

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ある日本企業の担当者からPCTの中国国内段階移行についての注意事項が聞かれました。本日劉煜弁理士にこの話を聞きます。では、劉煜先生、ご説明いただけますでしょうか?

劉煜

同じ質問もよく私のクライアントに聞かれます。では、本日私がまとめたものを一気にご説明させていただきますね。

中国国内段階移行の期限とその他の国との相違点

 出願人は優先権日より30ヵ月以内に、中国国内段階移行の手続きを行うべき、出願人は猶予料1,000RMBを納めた後、理由を説明する必要がなく、優先権日より32ヵ月内に中国国内段階移行の手続きを取ることができます。

一PCT国際出願につき一種の特許類型で中国移行しかできない

  一PCT国際出願が中国に入る場合、発明又は実用新案のうちの1つのみを選んで中国にしか入ることができず、発明と実用新案で同時に中国に入ることができません。

繰り上げて処理するメリット

普通の場合に、PCT国際出願について、中国特許局は国際出願日(優先権日)より30ヵ月の期限満了に近づいてこそ初めて審査を行うことになります。例えば、一件のPCT国際出願について国際出願日(優先権日)より25ヵ月に中国移行の手続きを提出した場合、一般に国際出願日(優先権日)より30ヵ月ぐらいに受理通知書を受け取ることになります。

もし出願人は中国特許局に繰り上げて審査してもらう、即ち国際出願日(優先権日)より30ヵ月内に審査してもらう必要があれば、中国国内段階移行の請求を提出すると同時に繰り上げて処理してもらう請求を提出しなければなりません。例えば、一件のPCT国際出願について国際出願日(優先権日)より25ヵ月に中国移行の手続きを提出しており、一般に手続きを取った日後の1~2ヵ月内に受理通知書を受け取ることになり、即ち国際出願日(優先権日)より26~27ヵ月ぐらいに受理通知書を受け取ることになります。

出願文本の補正時機及び注意事項

発明特許権を取得しようとする国際出願につき、出願人は下記の時間に自発補正を提出することができます。

1)国際出願書類の訳文を提出すると同時(特許協力条約第28条又は第41条により補正書類を提出する)に、

2)実体審査請求を提出すると同時に又は実体審査段階に入る通知書を受け取った日より3ヵ月内に。

実用新案権を取得しようとする国際出願につき、出願人は下記の時間に自発補正を提出することができます。

1)国際出願書類の訳文を提出すると同時(特許協力条約第28条又は第41条により補正書類を提出する)に、

2)移行日より2ヵ月内に

上記の時間に提出した自発補正は、その制限が実体審査期間の補正より少ないです。例えば、独立請求項と従属請求項を追加することができ、独立請求項の類型、主題名称等を変更することができます。   また、中国国内段階における出願書類への補正の根拠はPCT国際出願書類です。だから、中国国内段階において補正を行う場合、もし補正する内容(特に、請求項に加えた内容である)がPCT国際出願書類には記載されておらず、又はPCT国際出願書類から直接、少しも疑問がなく得ることができないと、当該補正は元出願の権利保護範囲を超えていて認められないと判定されることになります。

実用新案への実体審査

現在、実用新案に対する審査がますます厳しくなり、新規性を除いて、明らかに進歩性が欠如している案件についても拒絶理由を発行することになります。PCTの中国移行の実用新案は特に明らかです。実用新案の審査段階において、もし国際検索報告書に書き並べた引用文献又は特許性国際初步的報告書に引用された引用文献が「X」類となっていれば、審査官は当該引用文献を参照し、拒絶理由通知書を出すことになります。

PPHにより審査をより高効率にさせることができる

もし国際検索報告書又は特許性国際初步的報告書は出願が特許性を有すると認め、且つ、出願人が審査を速めるのを希望している場合、特許審査ハイウェー(PPH)制度を使用することができます。出願人は出願が国家公布を行ったあと、実体審査請求を提出すると同時に、PPH請求を提出するができ、又は出願が実体審査段階に入った後、実体審査開始の日までにPPH請求を提出するができます。

出願人/発明者等の変更で譲渡証明を提供する必要がある場合

国際段階国際事務局が出願人又は受理局の要求に応じて、願書中的出願人又はその氏名(名称)、居所、国籍又は地址の変更について、又は願書中の発明者又はその氏名の変更について記録をして、書面にて指定局、即ち中国特許局に知らせます。当該国際出願が中国段階に入る場合、出願人は当該項目の変更について記載事項の変更申告書を再び提出し、変更手続料を納付する必要がなく、直接変更した記載事項を使用すればよいです。

国際事務局から伝送された「記録変更通知書」(様式PCT/IB/306) に変更した事項は出願人(実体を指す)であることを示す場合に、国内段階に入る時出願人は出願権譲渡又は贈与契約書、工商行政管理部門が発行した会社合併の証明書類又はその他の権利移転の証明書類を提出すべきです。

ABOUT ME
しかちゃん
東京理科大学知的財産専門職大学院(MIP)卒。 元大手生活用品メーカーの知財マン、後に事業家に転身。 知財マンとして在職中、商標が専門、広告法や模倣品対策も携わり、語学能力を生かし、中華圏と日本の架け橋の役割を担っていた。現在華誠グループの一員として日本企業の中国事業を法律な観点でサポートしている。 このブログでは中国事業の法律問題について発信している。 ワーカホリックであり、スピーディーな対応を重視している。 何かサポートできるものがあれば、お気軽にご連絡ください。