知的財産権

中国意匠特許の新たな変化

福沢史可

中国の現行特許法は1985年に施行され、これまでに4回改正されていますよね。
前の3回はそれぞれ1992年、2000年、2008年でした。

福沢史可

2021年6月にまた新たに新特許法の施行が行われますが、意匠特許の権利者にはどのような朗報があるのでしょうか?

陳晨子

分かりました。
今回は意匠特許についての新たな変化を3点お話します。

1.権利の保護期間が延長
2.部分意匠制度が追加
3.国内優先権制度が追加

では、1つ1つ具体的な変化を解説していきます。

陳晨子

1つ目は、権利の保護期間が延長されたことです。

これまで中国の意匠特許の保護期間は10年しかなかったのですが、今回の特許法の改正で保護期間が10年から15年までに延長されました。
これは中国が意匠保護に関する「ハーグ協定」に加入するための必要に応じたことでもあり、権利者が丹念に設計し長期にわたって維持してきた製品の意匠を保護する目的となっています。
また、侵害行為に歯止めをかける上でも一層有利になるでしょう。

陳晨子

2つ目は、部分意匠制度が導入されたことです。

以前の中国では製品全体の意匠特許の出願のみ受け入れていました。
しかし、社会経済の急速な発展に伴って、割と定着した製品は創作者が行う設計上の余地が限られており、また時には権利行使が難しいという問題に直面していました。

今回の改正では、源から権利の基礎を固める機会を権利者に提供し、製品の部分の設計も意匠特許権の保護の客体に組み入れ、意匠特許の保護範囲を拡大しました。
これにより、製品によっては、権利者は部分における革新的な設計についても意匠特許の出願を通じて保護を受けることができるようになりました。

陳晨子

3つ目は、国内優先権制度が追加されたことです。

歴史的な理由により、旧特許法では発明特許と実用新案特許のみ国内優先権を享有していました。
しかし、今回の改正によって意匠特許も国内優先権制度を享受できるようになりました。

新法では、中国で最初に意匠の特許出願を提出した日から6ヶ月以内となっています。
また、同じ主題については国務院特許行政部門に特許出願を提出した場合に優先権を享受できると規定されています。

陳晨子

中国は既に工業製品に関する意匠特許出願件数が世界最多の国となっており、今回の特許法の改正と施行によって今後ハーグ協定に加入するための立法レベルの準備作業も整いました。

中国がハーグ協定に正式に加入すれば、権利者が海外の意匠保護を求めるのに非常に便利になるでしょう。

陳晨子

新特許法施行後のすばらしい環境の中で特許権者は必ず機会をつかみ、より新しいものをつくり出すことができます。
積極的に法的手段を利用して自分のイノベーションの成果を保護することで、中国の創意工夫、中国のデザイン、中国の製造が国境を越えて世界に進出できると信じています。

福沢史可

なるほど!ありがとうございました!