CHINA IP WEEKLY|DEEP DIVE
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今週の結論:税関届出は「登録済み」だけでは足りない
輸出入に関わる企業は、権利の有効状態、商品の識別ポイント、緊急時の連絡体制までを一体で見直す段階に入っています。
2026年10月、国家知識産権局(CNIPA)と海関総署は、知的財産権の協同保護を強化する意見を公表しました。今回のポイントは、税関での侵害品差止めを単独の手続として扱うのではなく、商標・特許の権利情報、侵害判断、行政判断、現場調査を結び付ける方向を明確にしたことです。
DEEP DIVE|通関段階の知財保護
何が変わるのか:4つの実務ポイント
1.権利の「現在地」が通関判断に近づく
意見では、CNIPAが商標・特許の基礎情報に加え、取消し・無効となった商標の情報や、重大な特許権侵害紛争に関する行政判断を税関総署と共有する仕組みを示しています。権利者にとっては、登録証を一度提出して終わりではなく、権利の失効、更新、名義変更、無効・取消リスクを継続的に管理する必要性が高まります。
2.特許案件では技術説明の準備が重要になる
税関が侵害疑義貨物を調査する際、知財主管部門は技術的事項について協力し、必要に応じて技術調査官などの専門家を推薦することが想定されています。特許を税関保護で活用する企業は、クレームだけでなく、現物で見分けられる特徴、写真、型番、比較表を平時から用意しておくと、照会への初動を速めやすくなります。
3.商標類否・特許侵害の判断で部門横断の参照が進む
税関は、CNIPAが定める判断基準、知財主管部門の行政答復、行政判断を十分に参照する方針です。複雑な同一・類似商品の判定や商標類否、特許侵害では、同級の知財主管部門へ意見を求めることも予定されています。現地代理人には、紛争案件だけでなく、通関時に使える商品識別資料を共有しておく価値があります。
4.届出の価値は「権利情報+現場資料」で決まる
税関の公式案内によれば、知的財産権の税関保護届出はオンラインで申請でき、書類がそろってからの処理目安は30営業日です。商標、著作権・著作隣接権、特許が対象で、権利に応じた証明書類が求められます。今回の意見は、届出済みの権利情報が通関実務でより活用される方向を示したものです。届出対象だけでなく、正規品写真、包装、真偽判定の要点、窓口担当者と連絡可能時間をセットで整備してください。
数字で見る:税関保護は「例外対応」ではない
海関総署の2025年実績によると、全国の税関は知的財産権保護措置を5万3,400回実施し、侵害疑義貨物を3万8,700ロット・8,642万点差し止めました。税関保護届出は3万5,220件受理され、2万7,553件が承認されています。届出は例外的な選択肢ではなく、ブランド・技術を国境で守るための実務インフラとして運用されています。
日本企業向け:今週できる30分チェックリスト
- 中国の商標・特許・著作権を棚卸しする。 権利者名義、有効期限、更新・年金、無効・取消しの有無を一覧にします。
- 税関届出の有無と有効状態を確認する。 未届出の権利だけでなく、名義変更や更新後の情報が反映されているかを確認します。
- 「真贋判定パック」を作る。 正規品・模倣品の見分け方、外装・ラベル・型番の写真、正規製造者・輸出者の情報、連絡先を一つにまとめます。
- 緊急連絡の担当を決める。 税関や現地代理人から照会が来た場合に、誰が何時間以内に確認するかを決め、休祝日も含めた連絡先を共有します。
- 越境ECを別管理する。 少量・多頻度の出荷ではSKU、販売ページ、物流ルートが散らばりやすいため、主力商品から権利情報と識別資料をひも付けます。
※ 今回の意見は、全ての権利者に新たな届出義務を課すものではありません。自社の輸出入形態、権利の種類、模倣リスクに応じて優先順位を決めてください。
QUICK UPDATES|関連する短報
今週あわせて確認したい2件
知財公共サービスでAI活用・侵害警戒を強化
CNIPAは、特許ナビゲーション、価値評価、産業化分析、侵害警戒などにAIを活用する公共サービスの整備方針を示しました。中国での競合監視や出願前調査を、単発の調査から継続的な情報運用へ切り替える際の追い風になります。
半導体分野:集積回路レイアウト設計の旧書式は廃止
改正された集積回路レイアウト設計保護条例の施行に合わせ、請求書式も2026年10月15日に切り替わりました。中国でチップ設計を扱う企業は、現地代理人のテンプレートと進行中の申請案件を確認してください。
本文の重要用語:日中対訳リスト
本文に登場する実務上の重要用語だけを整理しています。
| 日本語 | 中国語(簡体字) |
|---|---|
| 知的財産権の税関保護 | 知识产权海关保护 |
| 税関への知的財産権届出 | 海关知识产权备案 |
| 協同保護 | 协同保护 |
| 侵害疑義貨物 | 侵权嫌疑货物 |
| 技術調査官 | 技术调查官 |
| 特許ナビゲーション | 专利导航 |
| 侵害警戒 | 侵权预警 |
| 集積回路レイアウト設計 | 集成电路布图设计 |
本記事は公開情報に基づく一般的な情報提供です。届出、差止め、侵害判断などは、権利の種類と取引形態によって対応が異なります。具体的な案件は中国の専門家にご相談ください。

