多くの日本の企業から、「中国での特許出願のスピードアップを図るにはどうしたらよいか」という質問が寄せられています。
本日はこの件について、湯さんに聞きましょう。
まず、特許出願にかかる時間について教えてください。
ではまず、中国での特許権の付与に必要な時間をご紹介します。
特許には、「発明」「実用新案」「意匠」の3種類があります。
その中で、「実用新案」と「意匠」の出願に必要なのは方式審査です。
これは申請してから6ヶ月から1年後に権利が付与されます。
しかし、「発明特許」の場合は方式審査に加えて特許を取得する前に実体審査が必要となります。
実体審査に要する時間は比較的長くなることが多く、発明特許の出願から審査、付与まで2~3年、特許の付与まで4~5年となっています。
実体審査に必要な時間は、2~5年と長くかかってしまうケースが多く、平均的な出願人が期待するよりもはるかに長いです。
発明特許は時間がかかるというのは万国共通の悩みですが、発明特許を中心に審査時間を短縮するにはどうしたらいいでしょうか。
そうですね。
ではここからは、審査のスピードを上げて審査期間を短縮する方法を3つお話します。
1つ目の方法は、出願と同時に実体審査請求と早期開示請求を行い、できるだけ早く実体審査に入るようにすることです。
実体審査は特許庁に依頼する手続きですので、特許庁になるべく早く審査を開始してもらいたい場合は、早めに依頼をする必要があります。
出願人が実体審査請求と同時に早期開示を請求することで、6ヶ月以内に特許庁から出願公開され、同時に実体審査に進むことになります。
この方法であれば申請の際に特別な要件や費用が必要ないので、すべての申請者がすぐに利用できます。
2つ目の方法は、特定の条件に当てはまる方だけが利用できます。
申請する内容が省エネ・環境保護、新エネルギー、インテリジェント製造、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなど、国家の重要な産業分野に該当する場合は、特許優先審査手続きを開始し、特許庁にあなたの特許出願を優先的に審査するよう要請することもできます。
また、中国の国内出願と同時に海外でも特許出願をしている場合は、国内出願が優先審査の対象となりますので、この機会を逃さないようにしましょう。
優先審査が認められた場合、発明出願の場合は1年以内、実用新案・意匠出願の場合は2ヶ月以内に審査が終了します。
3つ目の方法は、地方の知的財産権保護センターが管轄区域内の企業や機関、および適格な特許出願に対して提供する事前審査サービスを受けることです。
保護センターで事前審査を受けた特許出願は、国家知的財産権局の迅速な特許審査ルートに入ることができます。
発明特許の最速サイクルタイムは3ヶ月、実用新案特許は1ヶ月、意匠特許は10日とかなり大幅に短縮されます。
このように、事前審査はここで紹介した3つの方法の中では最も手っ取り早い方法ですが、出願人や技術分野の要件など、満たすべき条件が最も多い方法でもあります。
州立知的財産権局のウェブサイトや最寄りの知的財産権局のウェブサイトで、最寄りの局が事前審査サービスを提供しているかどうか、またどのような条件や書類が必要かを確認することができます。
特許出願をスピードアップする方法はたくさんありますが、外国人の出願人も利用できるのでしょうか?
残念ながら外国人申請者は1つ目の方法しか使えず、2と3の方法は中国国内の申請者に限られています。
なるほど。
中国に進出している日本企業であれば第2、第3の方法を使うことができるということですね。
はい、原則的にはそうです。
原則的にはそうなのですが、後者の2つの方法はそれぞれの条件を満たせば承認されます。
なるほど、上記のような方法で審査期間を短縮できることはわかりました。
実質的な審査になった場合に、さらに審査期間を短縮するためにできることはありますか?
実は特許出願を3ヶ月早く開始するためのちょっとしたコツがあります。
それは 実体審査請求書を記入する際に使用するチップです。
特許法施行規則第51条によると、出願人は実体審査に入る通知を受け取った日から3ヶ月以内に発明に係る特許の補正を開始する権利を有します。
したがって、出願は実体審査の手続きに入ったものの、審査官はすぐには出願の審査を開始せず、積極的な補正のための3ヶ月の期間が満了するまで、すなわち出願文が確定した後に実際の検索や審査を開始することになります。
これは当初の出願文の検索や審査が終了した後に、出願人が3ヶ月以内に積極的な補正を行い、その結果によって審査のベンチマークが変更されるということです。
したがって、出願人ができるだけ早く審査を進め、3ヶ月の待機期間を避けたい場合、出願人は実体審査請求の際に規則51に基づく補正を開始する権利を放棄する宣言を行い、出願が実体審査プロセスに入った時点で審査官が調査・審査プロセスを開始できるようにすることで、審査プロセスをさらに3ヶ月早めることができます。
この権利を放棄する方法は非常にシンプルで、下図のように実体審査請求書にチェックマークをつけるだけでよいのです。
実体審査に入ってから補正開始権を放棄した場合、その後の補正はできないということですか?
補正の放棄と審査の迅速化を比較検討した結果、補正を希望する場合には審査請求と同時に未承諾の補正書を提出することができます。
しかし、特許法施行規則第51条に基づく補正開始権の放棄は、出願人が出願を補正できないことを意味するものではありません。
実体審査手続において審査官は審査通知を発行しますが、出願人は審査通知で指摘された欠陥に対応して、請求項または明細書を補正することができます。
要約すると、特許出願の実体審査請求を行う際に実体審査から3ヶ月以内に補正する権利を放棄する宣言をすると、特許庁は3ヶ月早く特許出願の実体審査を開始することができます。
貴重な話をいただきありがとうございました。