2021 年度華誠代表知財案件

悪意により提起した知的財産権訴訟による損害責任紛争事件

——最高人民法院(2020)最高法行再 72 号

悪意をもって登録した商標を利用して悪意の訴訟を提起し、権利者に損害を与えた場合、権利者は加害者に損害賠償を請求することができる。本件は知的財産権
カウンタークレーム訴訟であり、特に商標カウンタークレーム事件の成功例である。

  2019年、最高人民法院はユニクロが商標権侵害で訴えられた事件の係争商標は悪意をもって
登録された商標であり、これらの訴訟は悪意の訴訟であると判決した。ユニクロは、悪意の訴
訟を合理的に回避するために係争製品を自主的に撤去せざるを得なかったことによる売上減少、
悪意の訴訟に対応するために支払った弁護士費用など、これらの悪意の訴訟に対応するために
多大な損害を被った。そのため、ユニクロは事件に関わった悪意の訴訟の原告側に知的財産権
カウンタークレーム訴訟を提起し、これらの訴訟のためにユニクロが支出した権利行使費用お
よび被った経営上の損害を負担するよう相手方に求めた。

  当時、中国には参考にできるような商標類のカウンタークレーム訴訟事件の成功例がまだな かった。本件の争点は、商標の不当な登録というのは事後の司法認定であり、認定前に当該商 標権は形式的には合法的に有効であったため、事後認定された「悪意の登録」の主観的状態が その登録時に遡ることができるか否かということである。

  第一審裁判所は次の認識を示した。被告側の一貫した行為はその主観的悪意が終始一貫して いたことを示しており、係争商標は悪意の登録であり、登録日から実質的な合法性に欠けてい た。

  よって、第一審裁判所は訴訟におけるユニクロの請求額を全額支持して、相手方に総額 400 万元余りに上る損害賠償を命じる判決を下し、第二審は第一審判決を維持した。
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しかちゃん
東京理科大学知的財産専門職大学院(MIP)卒。 元大手生活用品メーカーの知財マン、後に事業家に転身。 知財マンとして在職中、商標が専門、広告法や模倣品対策も携わり、語学能力を生かし、中華圏と日本の架け橋の役割を担っていた。現在華誠グループの一員として日本企業の中国事業を法律な観点でサポートしている。 このブログでは中国事業の法律問題について発信している。 ワーカホリックであり、スピーディーな対応を重視している。 何かサポートできるものがあれば、お気軽にご連絡ください。