——(2019)京 73 民初 1612 号
GUI 意匠特許権侵害訴訟において、動的な GUI 設計につき、従来技術が特許のすべてのキーフレームを示す画像を既に含んでいるものの、これらの画像の完全な動的変化の過程が示されていない場合、動的変化の過程が同じであることに高い蓋然性があることを他の証拠と結び付けて証明できれば、証拠の優位性の原則に基づいて、係争特許に記載された GUI 設計が特許出願日より前に先使用によって既に開示されていたと推定することができる。このことは被告の従来設計の抗弁の成功に寄与する。
目次
GUIとは
Graphical User Interfaceの略。コンピューターの画面上に表示されるウィンドウやアイコン、ボタン、プルダウンメニューなどを使い、マウスなどのポインティングデバイスで操作できるインターフェース。これに対して、文字によるコマンド入力方式のインターフェースは「CUI(Character User Interface)」と呼ばれる。現在のパソコンのインターフェースは、ほぼすべてGUIを採用している。
事件紹介
本権利侵害訴訟は測定器のグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)の意匠特許に関するものであり、特許の概要説明には 3 枚の GUI のジャンプ変化の動的な過程が記載されている。被告製品には上記のインターフェイスの変化が含まれている。
被告は、従来設計の抗弁を提示し、被疑侵害製品が特許出願日より前に既に開示で販売されており、販売時に付随された製品ユーザーマニュアルには係争特許と類似する GUI の画像が 3 枚含まれているが、係争特許と同一の完全な動的変化過程を体現できるものが欠けていると主張した。
裁判所は審判において次の認識を示した。
1. 被疑侵害製品は係争特許の出願日より前に既に国家食品薬品監督管理総局にて製品の届出登記が行われており、検査報告書などの書類中の3枚の画像で被告が係争特許の出願日より前に既に設計を完了していたことを証明できる。
2. 被告製品の届出登録時に使用されたユーザーマニュアルと被疑侵害製品が正式に発売された時に付随された第 2 版のユーザーマニュアルとを対比したところ、両者の3枚のGUI 画像に実質的な差異がなかったことは、被疑侵害製品の届出から発売までに、当該製品に設けられた GUIにおいて実質的な変更が行われていなかったことを物語っている。さらに、原告による被疑侵害製品の公証付購入の時期と被告が訴外のある病院に製品を販売した時期との間隔は非常に短く、 被告が当該期間内に GUI を変更した可能性は非常に低い。
3本件の証拠は係争特許に類似する3枚のキーフレーム画像(正面図 A 部のインターフェース拡大図、インターフェース変化状態図1、インターフェース変化状態図 2)しかなく、図面のジャンプの順番を示す証拠が欠けているが、原告の証拠における被疑侵害製品に付随された第 2 版のユーザーマニュアルが検査報告 書におけるユーザーマニュアルと同じであるため、両者の GUI のジャンプの順番が実質的に同 じであることに高い蓋然性が明らかにある。
これらのことにより、第一審裁判所は以上の複数の要素を総合的に考慮し、被疑侵害製品の GUI の変化過程が特許出願日より前に既に関連公衆に知られており、従来設計に該当すると推 定し、これに基づき原告の訴訟上の請求をすべて棄却した。