A社は、全国29の異なる省・市にあるデパートのテナント店舗および3つのオンラインプラットフォームに自社店舗を設け、自社製品を販売している。
原告は、自ら保有する商標「Theory」に対する侵害を理由として、A社および同社にテナントスペースを提供しているデパート等33社を共同被告として訴訟を提起した。
しかしながら、各デパートはすべて被告として商標権侵害および不正競争防止法違反で訴えられているものの、問題となる行為は、複数の主体が個別に実施したものであり、共同行為には当たらない。
つまり、行為の性質は同種であるが、各主体間に実質的な関係はなく、共同侵害としての連帯責任も負わない。したがって、本件は**「同種の通常共同訴訟」**に該当する。
これに基づき、被告34社はいずれも本件訴訟を通常共同訴訟と見なし、自身の関連行為について上海市普陀区人民法院の管轄権を否認し、併合審理にも同意しなかった。
上海市普陀区人民法院は、これら被告のうちのあるデパートからの申立てを受理して審理したが、棄却の裁定を下した。
そこで、当該デパートはこの裁定を不服として上訴した。
第二審において、上海知識産権法院は当該デパートの主張を支持し、以下のように判断した:
- 本件における主要被告であるA社を除く33の被告の行為は、それぞれ異なるものであり、互いに直接的な関連性はない。
- 本件は「同種の通常共同訴訟」に該当し、併合審理は当事者の同意があることが前提となる。
- 異議を申し立てた被告が、併合審理に明確に不同意を表明している以上、本件は分割して審理すべきである。
その結果、上海知識産権法院は第一審の裁定を取り消し、本件を分割したうえで改めて管轄裁判所を確定するとの裁定を下した。