—— (2022)最高法知行終262号
本件は、無効審判の請求人が国家知識産権局による第40920号無効決定を不服として提起した行政訴訟の第二審(上訴審)手続きである。
本特許は、リチウムイオン二次電池に用いられるセパレータのポリオレフィン微多孔膜に関するものであり、請求項においては、フィルムの65℃での熱収縮率、引張伸び、引張強度およびその他の複数の構造的特徴を限定することにより、フィルムと電極の閉じ込めに優れ、形成される電池の巻きの収納性が良好であるという技術的効果を実現している。
無効審判の請求人は、本特許の独立請求項には「105℃での熱収縮率」という必要な技術的特徴が欠けていると主張した。
その根拠としては、明細書に記載されたすべての実施例に「105℃での熱収縮率」というパラメータが含まれていることを挙げている。
このため、本件の争点は、明細書に記載された当該特徴が、独立請求項にとって「必要な技術的特徴」に該当するか否かに置かれることとなった。
特許審査指南の規定によれば、「必要な技術的特徴」とは、発明が技術的課題を解決するために不可欠な技術的手段を指し、ある特徴が必要な技術的特徴に該当するかどうかの判断は、
- 解決すべき技術的課題を出発点とし、
- 明細書全体の記載内容を総合的に考慮する必要がある。
したがって、実施例に記載された特徴が直ちに必要な技術的特徴であると認定すべきではない。
この点について、まず独立請求項が解決しようとしている技術的課題、または実現しようとする技術的効果を確定すべきであり、明細書に記載されたすべての技術的課題が独立請求項の課題とは限らない。
そのうえで、どの技術的特徴がその課題解決に必要かを判断すべきであり、仮にある特徴が他の課題(独立請求項とは関係のない課題)に寄与するものであれば、それを独立請求項の必要な技術的特徴とは見なすことはできない。
最高人民法院知的財産法廷は、審理において以下の判断を示した:
- 明細書に記載された「105℃での熱収縮率」の範囲は、発明のさらなる技術的効果を実現するための好適な解決手段として記載されているものであり、
- 実施例においても、あくまで「好適な範囲内」で紹介されているのみであって、本発明の中核的な構成要素として明示されているものではない。
よって、105℃での熱収縮率は、本特許の請求項1が解決しようとしている技術的課題に不可欠な(=必要な)技術的特徴ではないと認定された。
以上に基づき、裁判所は上訴人の上訴請求を棄却し、第一審判決を維持する旨の判決を下した。