2023年度華誠代表知財案件

電動真空ポンプ発明特許権侵害訴訟事件

——(2023)滬73知民初335、336号

原告が特許権侵害訴訟を提起した後、被告は通常、国家知識産権局に特許無効審判請求を提起する。事件の処理には莫大なコストがかかるだけでなく、訴訟にかかわる期間も割と長い。これに対し、特許権侵害訴訟事件と無効審判請求事件の傾向を全体的に評価し、和解交渉や特許ライセンスなどの手段で論争を解消することが最善の方法であり、双方にとって最も有利な結果を得ることができる。

 原告は、被告が製造・販売・販売の申出を行った電動真空ポンプ製品について、自身が保有する2件の中国発明特許を侵害している疑いがあることを発見し、上海知識産権法院に対し、当該2件の特許に基づく特許権侵害訴訟を提起した。原告は、被告に対して権利侵害の停止および損害賠償の責任を求めた。

 その後、被告は本件に係る2件の特許について、国家知識産権局に無効審判を請求した。
特許権侵害訴訟と特許無効審判請求の審理が進む中、双方は自発的に複数回にわたり交渉を行った。この期間中、両当事者は意見交換を重ね、特許権侵害の判断結果および特許無効の判断結果について、ほぼ共通の見通しを持つに至った。これを踏まえ、事件の包括的な和解および今後の協力関係についても協議を進めた。

 1年半に及ぶ交渉を経て、双方は最終的に上記の紛争について和解に至った。被告は、係争製品の製造・販売・販売の申出に関する行為について原告に謝罪し、一定額の補償金を支払うとともに、今後の事業活動においても本件両特許に関する実施許諾料を原告に支払うことに同意した。

 最終的に、上海知識産権法院は、双方が締結した和解合意および特許実施許諾契約に基づき民事調停書を作成した。また、被告は国家知識産権局への無効審判請求を取り下げ関連する紛争は公判開始前に解決された。

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しかちゃん
東京理科大学知的財産専門職大学院(MIP)卒。 元大手生活用品メーカーの知財マン、後に事業家に転身。 知財マンとして在職中、商標が専門、広告法や模倣品対策も携わり、語学能力を生かし、中華圏と日本の架け橋の役割を担っていた。現在華誠グループの一員として日本企業の中国事業を法律な観点でサポートしている。 このブログでは中国事業の法律問題について発信している。 ワーカホリックであり、スピーディーな対応を重視している。 何かサポートできるものがあれば、お気軽にご連絡ください。