2023年度華誠代表知財案件

特許権侵害訴訟————包括的和解事件

——(2021)最高法知民終1923号等

包括的特許権侵害訴訟の和解の件については、各事件間の関連・関係をよく整理し、こちらに有利な事件の審理を推し進め、こちらに不利な事件の審理を遅らせることによって、交渉におけるこちらの優位な立場を維持しなければならない。 同時に、和解の過程で相手方当事者の経営動態プロセスを継続的に追跡し、利用可能な交渉カードを掘り起こす。

 本件の権利侵害製品はプリンタエンジンであり、多数の特許権に関連している。華誠は、特許権者であるS社を代理して、被疑侵害者であるJ社の特許権侵害行為に関する訴訟を提起した。その後、J社はS社の特許に対する無効審判請求を行い、さらに、S社の製品が自社の特許権を侵害しているとして、報復的な特許権侵害訴訟を提起した。2022年末まで、これらの関連訴訟は2年以上にわたり綱引き状態が続いた

 長期に及ぶ訴訟に伴う権利行使コストの急激な上昇を避けるとともに、J社が提起した特許権侵害訴訟の帰趨が予測困難であることから、S社は華誠に対してJ社との和解交渉の代理を依頼した。S社は主に、J社が権利侵害製品および代替製品を今後製造・販売しないこと、適切な損害賠償金を支払うこと、そしてJ社がS社およびその関連顧客に対して保有特許権を行使しないことの保証を求めた。

 S社とJ社の間では、特許権侵害訴訟、特許行政訴訟、特許無効審判を含む十数件の訴訟が相互に提起されており、各事件の審理状況が和解条件に影響を与えるため、華誠は和解交渉の過程において、事件を精緻に整理し、S社に有利な事件の審理を推進し、不利な事件は遅延させることで、交渉上の優位性を確保した。

 さらに、華誠は、J社による再度の特許権侵害の疑いに関する証拠を収集し、過去の特許侵害行為に対する勝訴判決や、S社が第三者を提訴した再度の侵害行為に関して懲罰的損害賠償が認められた第一審勝訴判決を武器に、J社に対し複数回の交渉を通じて圧力をかけた。

 その結果、華誠はS社の交渉カードの選択肢をさらに拡大し、J社は訴訟を継続する自信を喪失最終的には、S社にとって極めて有利な条件で和解が成立した。J社は、既に権利侵害と認定された事件について第一審判決に従い賠償を行い、上訴も取り下げた。さらに、再度の権利侵害行為についても賠償し、S社に対するすべての特許権侵害訴訟を取り下げた。

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しかちゃん
東京理科大学知的財産専門職大学院(MIP)卒。 元大手生活用品メーカーの知財マン、後に事業家に転身。 知財マンとして在職中、商標が専門、広告法や模倣品対策も携わり、語学能力を生かし、中華圏と日本の架け橋の役割を担っていた。現在華誠グループの一員として日本企業の中国事業を法律な観点でサポートしている。 このブログでは中国事業の法律問題について発信している。 ワーカホリックであり、スピーディーな対応を重視している。 何かサポートできるものがあれば、お気軽にご連絡ください。