2022年度華誠代表知財案件

「山本漢方SHANBENHANFANG」商標無効審判行政訴訟(Article 44)

——(2021)京71行初11158号

 2010年9月より、ある会社(以下「被請求人」)が第03、05、29、30、35、43類の合計6つの区分で「山本漢方SHANBENHANFANG」という商標を出願し、登録が認められた。

 その後、2020年2月、「山本漢方」の国外商標権者が無効審判を請求した。主な理由は以下の通りである。

  • 「山本漢方」は請求人が先に使用しており、極めて高い知名度を有する商標である。
  • 被請求人は請求人と同業の競合他社であり、請求人の知名度にフリーライドしようとする悪意がある状態で、同一商標を出願した。

 2021年6月、国家知識産権局は無効の決定を下し、請求人の主張を支持した。

 これを受けて、被請求人は当該決定に不服として行政訴訟を提起し、自身が広告・宣伝を行った証拠を提出して、係争商標を使用目的で登録したことを主張した。

 これに対し、請求人は提出された証拠の中にある次のような表現に注目した:

「山本漢方天然有機青汁三昧/日本風靡/日本同時発売/友人が日本から持ち帰ってきたものを飲んだ……」


 このような記載から、請求人は以下の点を指摘した。

  • 被請求人は自社の経営活動において「山本漢方」の商標の存在を明確に認識していた。
  • にもかかわらず、商品の出所や産地を意図的に混同させるような宣伝を行っており、請求人の商標の知名度に便乗しようとする明らかな悪意が認められる。

 2022年6月、北京知識産権法院は被請求人の訴えを棄却する判決を下した。

主な判決理由は以下の通り:

  • 係争商標の出願日前に、請求人はすでに「山本漢方」等の商標を使用していた。
  • 「山本漢方」は独創的な商標であり、顕著性が強い
  • 被請求人は複数区分にわたって同一の商標を繰り返し出願しており、偶然の一致とは考えにくい。
  • 以上に基づき、係争商標の登録行為は、「その他の不正な手段による登録」に該当し(2001年商標法第41条第1項)、無効が相当であると判断された。
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しかちゃん
東京理科大学知的財産専門職大学院(MIP)卒。 元大手生活用品メーカーの知財マン、後に事業家に転身。 知財マンとして在職中、商標が専門、広告法や模倣品対策も携わり、語学能力を生かし、中華圏と日本の架け橋の役割を担っていた。現在華誠グループの一員として日本企業の中国事業を法律な観点でサポートしている。 このブログでは中国事業の法律問題について発信している。 ワーカホリックであり、スピーディーな対応を重視している。 何かサポートできるものがあれば、お気軽にご連絡ください。